人魚の涙〜マーメイド・ティア〜



ーピリリリリッ


ーピリリリリッ



…夢?



目を開けると部屋の中はすでに明るく、目覚ましもなっていた


答えが決まったらあたしはスヤスヤと寝てたらしい



…なんて単純な身体だ



悩んでたら寝れず、悩みがなかったらあるいは解決したらあっさりと寝れる
我ながらあっぱれだと思った


そんなことより準備しないと


準備をそそくさと済ませて外に出るといつも通りの車で中に乗り込めば、そこにいるのはやっぱり爽やかな笑顔を浮かべた敦先輩だった



「おはよう、千晃ちゃん」


「おはようございます、敦先輩」



車が緩やかに発進する



「答え、出たみたいだね」



クスクス笑いながら敦先輩の表情は何処となく嬉しそうで、多分この人にはあたしの答えがわかってるんだと思った。



「はい。もうバッチリ決まりました」



だからこそ笑顔で返した


一瞬だけ敦先輩は固まってそしてまた笑い出す



「そっかそっか、今の顔見たらみんな喜ぶと思う」


「え、あたしそんなにひどい顔してました?」



それにまた笑い出す敦先輩のツボがあたしには分からない
まぁ、なんでもいいや。あたしはみんなになんて話そうかそんなことを思いながら学校へ向かった



「へぇ、じゃあ決めたんだ?」



今は昼休みで前には麻奈実が座っている
少しだけ嬉しそうに微笑んでる



「うん。とりあえずね。多分2年生になるまでは大丈夫だと思うし」



私も笑って返すと今度は悲しそうに笑う
麻奈実もわりと表情がコロコロ変わるようになったと思う
昔はいつも不安そうな顔か寂しそうな顔しか見たことなかったな



「あたしトイレ行ってくる」



そんな物思いに耽っていても生理現象はくるものだ



「私も行くわよ、1人じゃ危ないわ」



麻奈実の言ってることもわかるけど
わざわざ着いてきてもらうほど離れてないトイレに連れションは…



「大丈夫だって!教室出てすぐそこじゃん、何もないよ」



麻奈実が心配そうな顔をしてしばらく考えてから口を開いた



「なんかあったら叫ぶのよ、すぐ飛んで行くから」



大丈夫大丈夫、ありがとうーと言って教室を出てトイレに向かう


その間にも視線はバシバシ感じた



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