人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
何でこんなに視線を感じるのかというと
「あの女が神獣に出入りしてるんだって!」
「信じらんない!ブスじゃん!」
「次の代まであんな女に従わなきゃならないの!?」
まぁ要するに昨日の歩いて帰ったことでバレた。
その昨日から探すことに躍起になってたからすぐ見つかるとは思ったけど
すごい言われようじゃん、あたし。
待って、ブスなのは認めるけど次の代までってのはどういうこと?
その辺はあたしもイマイチわかってない
てか、個室に入ってからこの子たちが後から来て出るに出れなくなった。タイミングを逃してしまった
「あ、やばっ!行こ!」
そう誰かが言って出て行く気配がして安堵したのも束の間
ー…ドンッ!
ぴ、びっくりした!
今度はなに!?
あたしが入ってる個室が何かによって衝撃を喰らった
「春山さーん?ここにいるのはわかってるの、開けてくれない?」
これあたしやばいやつじゃない?
トイレでリンチのやつじゃない?
だって話し口調がテレビで見たまんまだし
なんか5、6人いるみたいだし
ーバンバンバンッ!
「聞いてるのー?開けてよー、早くしないと上から水ぶっかけるよー」
あ、それはやめて、すぐ出ますので
ーガチャ
そこに立っていたのは綺麗系なお姉さんが6人
1番前に立ってるのが多分リーダー格
「あの、あたしに何か?」
随分あたしもヘラヘラした笑いを浮かべれるようになったもんだと我ながら感心する
こんな状況なのに怯えることもせず笑っているあたしが勘に触るのか眉が一気に釣り上がる女たち。おー、怖いぞ。
「ちょっと来なさいよ!」
グッと無理やり腕を捕まれて引きずられるようにトイレから出た
どこ行くんだろ?
あたし、てっきりトイレでモップやら何やらでボコボコにされるのかと思ったのに
周りの人も見てるだけで見なかったことのように目を伏せていた
あー、こうしてイジメって黙認されるのかってやばい状況なのに冷静に人の冷たさを観察していた