人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
あたしの一言がよほど衝撃的だったのかお姉さんたちはみるみる顔を赤くしてこちらをキッと睨む
「なに言ってるのよ!あれは慎さんよ!私たちが間違えるはずないじゃない!証拠見してみなさいよ!」
証拠って…
どんだけ間違いって認めたくないのよ
とりあえず大声で呼んでみるとか?
それしか証拠なんて見せれないし
スゥと思いっきり空気を吸い込んで
「れーーーーーーん!!!」
お姉さんたちはギョッとして
その鮮やかな金髪をした奴はこちらを振り向く
ほらね。
「蓮だったでしょ?」
あたしはお姉さんたちに向き直る
「な、なによ!私たちだってあれが蓮くんだって、わ、分かってたわよ!」
…見苦しい
「あの、すいませんけど。あいつらのことほんとに好きですか?みんなのものとか言ってるけど、それってあいつら一人一人のこと分かろうとしてませんよね?だから今だって間違えた。あいつらのこと見た目でいいって思ってるならやめたほうがいいですよ。中身はとんだ馬鹿野郎たちですから。」
一気にまくしたてたあたしにしばしポカンとするお姉さんたち。
でも意識を取り戻して詰め寄ってくる。
「な、なに生意気なこと言ってんのよ!」
そう言ってお姉さんAの腕が上がる
まぁ1発くらいなら殴られても平気か
そう思って受け身をとった
あれ…?衝撃がなかなか来ないんだけど
「…てめぇ、俺様を呼ぶなんていい度胸してんじゃねぇか」
え、この声…
ぎゅっと瞑っていた目を開くとそこには下にいたはずの蓮がいた
少し肩で息をしながらお姉さんAとあたしの間に入って背中であたしを庇うように立っていた
「れ、れんくん!これには訳があって」
焦ってお姉さんたちは言い訳を始めたが
「失せろ、ブスどもが」
蓮のこの一言で空気が一瞬にして凍った。
殺気も少し出て蓮の方が殴るんじゃないかと思うくらいピリついた雰囲気に耐えられなくなったのかお姉さんたちは軽く悲鳴をあげて走り去って行った
なんだったんだろ?
そんな後ろ姿をぽかーんとして眺めているあたしに向き直る蓮は少し怒ってるような、安心してるような顔をしている