人魚の涙〜マーメイド・ティア〜



蓮はあたしの頬を盛大に引っ張って



「お前な、こっから俺のこと連れてこられた時点で見えてたんだろ?だったらもっと早く呼べよ」



意味のわからないことを言った



「ひゃんで?ひぇか、はにゃひて」



バシバシと蓮の手を叩いて離せとアピールするとぶっと盛大に吹き出して



「ブッサイク!」



殴り飛ばしてやろうか



「なんなの!引っ張ってきたのはそっちでしょ!あんたのせいでさらにブッサイクになったらどーすんのよ!」


「そんときは嫁に行けねぇだろうな、まぁもらうやつもいねぇと思うけど?」



マジぶっ飛ばす!助けてくれたことには超感謝するけどね!


本当に蓮と喋ると失礼なことしか言ってこない


もう無視だ!無視!



「怪我はねぇか?」





「ないよ」



そんな風に聞かれたら無視できんでしょ。



「てか、てめぇが助ければよかっただろ」



は?誰に向かって喋ってんの?


蓮はいきなり意味不明な発言をし始めた。



「あららー、バレてたー?」



この声は…



「奏太!?」



屋上の入り口の上からヒョコッと顔を覗かせる奏太がいた



「さっき一斉送信してたろ。」



蓮がスマホを取り出して何かを確認する



「え、なに意味わかんないんだけど。奏太いつからそこにいたの?」



なぜかあたしだけこの会話に置いてけぼりを食らう



「最初から~。怖い姉さん方に引きずられて、投げ捨てられた時の千晃すごーいマヌケだったよ。」



ストンと下に降りてきてスマホの画面に表示されているのは膝をついて転んでいるあたしだった。



「ちょ!撮ったの!?恥ずかしい!消してよ」



画像を消そうと奏太に摑みかかるがヒョイヒョイと避けられる


このクソガキっ!


あたしの血管が切れちゃうくらい人をおちょくるのがうまい奏太はやっぱりこっちが素のようだ。


それを見せてくれることは嬉しいような、嬉しくないような…



「ほらほら、見てよ!これなんかパンツ見えてる!」



でもやっぱりぶっ殺す!



「奏太ー!」



そんな広くない屋上で追いかけっこが始まった



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