人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
第二章




「え?海?」



あたしは思わず耳から入ってきた言葉をもう一度繰り返していた。



「そう!海!ね、千晃も行くでしょー?」



隣に座る波瑠は嬉しそうにニコニコと微笑んで腕を絡ませてくる


夏休みに入り毎日ここで過ごしてもう1週間が経った


そこで出てきたのは、海。



「毎年ね、俺の家が持ってるプライベートビーチで3泊4日のみんな仲良くなろうぜ会を開いてるんだけど」


「待って、誰そのヘンテコな名前つけたの」



あたしの発言に波瑠が慌てて私の口を塞ぐ



「俺だけど、変かな…?」



ひぃいぃいぃ!



「ごめんなさい!何て素晴らしいネーミングセンスなの!」



目の前にいる敦先輩のドス黒くなったオーラが消えて爽やかに笑ってくれる



「だよね、よかった」



まじでこの人やばい。
敦先輩はこの中で1番変人なのかもしれない。



「それでね、今年は千晃ちゃんもよかったら参加しない?下のやつらにもまだちゃんと面通ししてないし、いい機会だと思うんだ」



そういえばあたしまだ下にいる人たちとちゃんと話したことないかも。


確かにいい機会かもしれない。
それに海なんて一度も行ったことがないあたしからしたらその単語だけでワクワクものだ



「行きます!」


「じゃあ決まりだね!」



敦先輩は嬉しそうに笑う



「やったぁ!千晃、楽しみだな!」



波瑠もキューティーな笑顔を見せて笑う


だからつられてあたしも笑顔になってしまう



「うん!あたし海行くの初めてだからすっごく楽しみ!」



その途端ニコニコしてた2人が固まった



「あれ?どーしたの?なんかあたしの顔についてる?」



あまりにもあたしの顔面を見るものだから何かついてるのかと心配になる


さっき朝食食べた後に歯を磨いたので歯磨き粉とかついてたら恥ずかしいではないか


ほんとになんかついてるなら言ってよね
恥ずかしいじゃん。



「千晃かわいい!!」
「ぐへっ」



波瑠が首に抱きつくもんだから急に喉がしまって変な声が部屋に響く



「そっか、千晃ちゃん初めてなのか。それは楽しくなるよきっとね。」



敦先輩があやすようにあたしの頭を軽く撫でる



「はい、きっと忘れらない夏になるでしょうね」



ほんとに楽しみで顔が引き締まらない



「にしても慎たち遅いねー」



あたしの首から顔だけ離して敦先輩に問いかける波瑠


今ここにいない慎、蓮、奏太は何やら準備があると言って出かけているらしい。


なんの準備かあたしは知らされてない。



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