人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
そろーり、そろーり。
パッ、パッ!
んー!楽しくなってきた。
進むたびにバレるかバレないかそんなスリルを味わいながらルンルンで校舎を見学していく。
見ててなんとなく思ったのは、どこも授業をやってるクラスが見当たらないこと。
先生たちに見つかるリスクは減るものの空き教室みたいなのが多すぎる。
生徒たちもそんなに見かけない。
登校してない?まぁ彼らは不良と呼ばれるから遅刻や欠席はするのだろうがこんなにいないものなのだろうか?
不思議に思いつつ足は進む。
その時だった。
ー…ドーンッ!
あと一歩踏み出していたらあたしは完全に死んでいたかもしれない。
ヒヤッと嫌な汗が背中を伝った。
さすが、不良のアジトなだけある。
ドアが吹っ飛んで人まで飛んできた。
こんなの西棟じゃあり得無さ過ぎて一瞬フリーズした
「うっ…。」
フリーズからうめき声で現実に引き戻されると
吹っ飛んできた彼は血が流れていて顔もだいぶわからないくらい腫れていた。
こりゃ、さっさと離れた方が身のためだと思い踵を返す。
「おい、お前ここで何してんだ。」
オゥマイガー。
さらに汗がタラタラと流れる。
やばい、見つかった。
終わった、殺される。
「おい、聞いてんのか。」
ガシッ!
「は、離せー!!!」
それはほんとに仕方のないことだった。
本能が危険だと言ったのだ。
あたしはそれに従ったまでなのだ。
ー…ズドォーン!!
あ、やばい。やっちまった。
「いってぇ…」
そう、まさにこれが背負い投げ。
柔道と空手をやっているあたしは何気ない日常で肩を触られたりするのは問題ないけど、危機的状況に陥った時だけ突発的に柔道や空手が出てしまうのだ。