人魚の涙〜マーメイド・ティア〜


慎と2人で敦先輩のところに戻ると



「魚は釣れたの?」



クスクス笑いながらでもどこかホッとした顔で迎えてくれた



「…うるせぇ。」



あんな浅瀬では何も釣れないってことをわかっていて聞いてる先輩もなかなかな意地悪な気質をお持ちだ
そして拗ねる慎もなかなか可愛いじゃないか


そんなことを思ってニヤニヤしてたら



「おい、ブス。何ニヤついてんだよ」



ビシャッと顔に冷たい水がいきなりかかってきた



「ちょっ、蓮!!何すんのよ!」



水が飛んで来た方を見ると得意げに蓮が立ってて
あたしも近くにあった水鉄砲を持って反撃態勢をとる



「こんの!!おりゃぁぁぁああ!」



手に持ったものが丁度連射出来るタイプで思いっきり蓮に打ちまくる



「おい、ブス!このイケメンを水も滴るいい男にするとはやるじゃねぇか!」


「え、まってどこにそんな男が!?」



あたしはわざとらしくキョロキョロと見渡す
そうすると蓮はみるみる顔を真っ赤にして怒りだす



「てめぇ!上等じゃねぇか!!」



蓮は二刀流であたしを追いかけ始める


けどあたしだってそんな簡単にやられてたまるか!


蓮とテントの周りで走り回っていると



「あっ!ちーさんと慎さんが戻ってきてる!」



みんなも自然と周りに集まってきた。



「お、楽しそうなことしてんじゃん~、俺もまーざろっ!」



奏太を筆頭にみんなも水鉄砲をもって参戦する



「おっしゃぁぁ!お前ら!このチビブスをぎゃふんと言わせてやれ!!」



蓮の掛け声で野郎どもが一斉にあたしを包囲する



「ええええ!?この人数対あたしなの!?理不尽だし!おかしいし!」



なんとか逃げつつ転げまわっているとあたしが転がり込んだ先にいたのは



ー…ビシャッ!



「…上等だ、敦…行くぞ。」



水も滴るいい男の慎だった


もちろんあたしにめがけて放った水がまさか慎にヒットするなんて思ってもなかった下っ端くんたちは冷やせをかいておろおろしている。


そしてそんな状況をしめたっ!と便乗するあたしもなかなか意地汚い。



「へっへっへっ!よっしゃ!こっちにも味方ができた!慎に敦先輩、行きますよー!!」


「…あぁ。」


「ふふっ、千晃ちゃんと共闘できるなんて嬉しいよ。」



あたしたちは三人ペアで構えて日が完全に沈むまでみんなで走り回り続けた



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