人魚の涙〜マーメイド・ティア〜


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「…だって、みんな、波瑠のこと…大切に、おも、てるん、だなって…」



そういいながらどんどん瞼を閉じてとうとう閉じ切った千晃は幸せそうな顔をして眠った



「…ったく。戻るぞ。」



慎が壊れ物を扱うかのようにそっと引き寄せて髪に顔を寄せてから浜の方に振り返り歩きだす


波瑠はいてもたってもいられずその背中に呼び掛ける



「慎!俺、ごめん!千晃まきこんで、みんなに迷惑かけて…俺…おれ!」


「波瑠より蓮と奏太のいたずら好きの方が迷惑だ…。行くぞ。体が冷えてんだろ。」



波瑠の目にまた涙がたまっていく。あれだけ泣いたはずなのにまだこんなにも流れてくるなんて。


これは慎なりの気にするなっていうメッセージで。


波瑠もこの背中にいつも助けられてきた。


そして今日は慎の腕の中で気持ちよく眠る千晃にも…。


波瑠はこの二人、いや、浜辺にいるあの三人にも何かあったら真っ先に助けると胸に誓いを立てた…



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