人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
「心配おかけしましたということで乾杯ー!」
あれから部屋でギャーギャー騒いでいたら波瑠が起きてもう夕方近いし、今から海に行くのもだるいと蓮が言うから、明日の朝までどんちゃん騒ぎにしようということになり、昨日食べれなかった美味しい料理がずらりと目の前に並んでたくさんのお酒も並んでいた
少し心配なのは起きてから一言も喋らない波瑠。
チラッと前を見るけどご飯にも手をつけない
…心配になってくるじゃないか
「気にすんな、あいつ寝起き悪いんだよ」
「せっかくフォローしてるのに人の天ぷら取っていくのやめてもらえる?」
「んだよ。ケチケチすんな!」
いや!ケチケチとかじゃないから!!
隣に座る蓮が勝手に天ぷらを奪っていく
それに文句を言ってると反対の隣からスッと
「え、くれるの?」
「…そんなに好きならやる」
「えー!!慎ありがとう!」
隣から舌打ち聞こえるけど無視無視。
蓮に取られる前に慎の天ぷらを頬張る
「ん〜!さいっこうにおいしい!慎がくれた天ぷらだからかな!」
慎の方に向いて笑いかけるとフッとまた綺麗な笑顔であたしの頭を撫でてくれる
「よかったな。」
本当に優しいなぁ、慎は。なんだろ、こう心がフワフワしていく感じは。
「ふふっ、じゃあ俺も千晃ちゃんに天ぷらあげるよ。」
慎がエビをくれたからか、敦先輩はレンコンをくれた
「ええ!敦先輩までいいんですか!?」
「じゃあ俺っちも、ちーちゃんにあげる〜」
なんか流れで奏太までくれた、絶対くれなさそうなのに。
そしてみんなの視線が波瑠に向く
その瞬間悟った。
あぁ、みんな波瑠に気にすんなって言いたいんだなと。
輪の中に入りやすいようにしてくれてるんだと。
みんなの優しい気遣いに、息の合いようにびっくりしながらも波瑠見る
「っ、俺のもあげるっ!千晃、食べて!!」
やっと顔をあげて目を合わせてくれた
そんな些細なことが嬉しくて、もう大丈夫だということが嬉しくて思わず顔が緩む
「波瑠もありがとう!」
その瞬間パッと咲き誇った花のように可愛らしい笑顔で頷き返してくれた