人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
始まりと集会
「あぢぃー、チビデブがいるせいで部屋の温度があがってんじゃねぇの?」
「はぁ?暑いのが嫌なら出ていってくれる?」
「そーだ、そーだ!ここは千晃の部屋なんだから蓮みたいな単細胞が上がらせてもらえるだけありがたいと思いなよ!」
「てめぇら、2対1になると急に強気になりやがって!チッ!」
そう。ここは私が住むボロい1DKの部屋。
あの旅行から帰ってきて、はや2週間が経とうとしている
そして、なんでこの2人があたしの部屋に上がり込んでるのかというと…
近々、大きな“集会”があるらしい。
敦先輩が言うには
『神獣と同盟組んでる別のグループとその傘下のグループがこの倉庫に一気に集まるんだ。だからその準備の間千晃ちゃんには悪いんだけど自宅待機してもらっててもいいかな?やっぱり準備が整うまではいつもいる場所とはいえ危険だからね?』
それから神獣のメンバーが2人か1人であたしの家に訪れるようになった。
基本は波瑠と蓮のペアが多いんだけどね。
1番会えてないのは逆に言えば敦先輩かもしれない
マメにLINEは来るんだけど、こいつらが悪さしてないか、迷惑かけてないかの確認なんだけど内容がオカンかよって感じだからほっこりしながら読んでる
敦先輩、無理してなきゃいいけど。
「千晃ー?ボーッとしてどうしたの?」
危ない危ない、意識がどっか飛んでた。
腰に手を回して肩に頭を押し当てて聞いてくる波瑠を撫でてあげる
「ううん、なんでもないよ!それより、昼ごはんどーする?」
「おー、腹減ったな。翔さんのとこでも行くか」
額の汗を軽く拭きながら蓮は立ち上がる
「そだね、今日は何食べようかなー。」
あたしも鼻歌を歌いながら出かける準備をしようと立ち上がりかけたけど立てなかった
「?波瑠、どーしたの?」
「…、たぃ」
「へ?なんて?」
少しうるうるした目でパッと顔を上げた
「俺、千晃の手料理食べたい!!」
「え、うそでしょ」
「はっ!こりゃいいな!おい、チビブス、作れよ!!」
「いや、なんであんたまでノリ気なのよ!」
「…ダメか?」
うっ…波瑠の泣きそうな顔にあたしは弱い、それを知ってか知らずかそれはずるい
「あぁー!もうわかったよ!作るよ!」
手料理を振る舞うことになった