人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
「俺、人参嫌い!」
「波瑠、好き嫌いはダメだよ?」
「そーだぞ、おっきくなんねぇぞ!」
「とか言いつつ、蓮もビールを買おうとしない。無駄な出費!」
「チッ、てめぇはオカンかよ!」
「いや、敦先輩ほどでは。」
「ぁん?なんでそこで敦が出てくるんだよ」
「あっくんがどーかした?」
「いや、何でもない、こっちの話。」
手料理を、作ることが決まったのはいいけど丁度食材切らしてて3人で買い物に行くことになったけど何せ自由人2人というか気ままな2人だからツッコミ続けですごく疲れた。
これを一人でこなす敦先輩はほんとにすごい、超人。
そういう意味では意外とこういう時、奏太は常識っていうかあんまり勝手な行動はしないなって思う。
興味あることは勝手に行ってきて買ってふらっと帰ってくる。
そういえば1回家にある食材でご飯作ってくれたことがあったけどすごく美味しかったな。
…よし。
「今日はオムライスにしよ!」
「オムライス!?俺、大好き!!」
私の提案に波瑠は花を咲かせたように笑顔を見せる
この笑顔を見るとなぜか頭を撫でたくなるんだよな。
「オムライスか、奏太のやつが1番うめぇからチビブスのは美味いと思えねぇな。」
「いや、食べてから言ってほしいわ」
「んだよ、自信あんのかよ?」
「あるよ。昔から私のオムライス評判よかったし」
施設で育った時、園長がいない時よく下の子たちに作ってたっけ。
「そーかよ。」
蓮の声が冷たくなったような気がして見るとどこか遠い目をしてた
ぎゃーぎゃー騒ぎながら買い物が終わって家に帰って料理する。
波瑠と蓮は半熟派らしいからふわとろの卵を作ってご飯の上にのせる
「うわぁー!千晃すごいよ!!」
「へぇ、やりゃできんだな」
「素直に美味そうって言えばいいのに。」
「ケッ、素直に言ったらてめぇ調子にのるだろーが。」
「いいじゃん、たまには天狗になったって。いつも天狗のやつに言われたくないわね。」
「…このオムライスに免じて今の失言は見逃してやる、ありがたく思え。」
こいつはどうしていつもいつも上から目線でものをいうのだろうか。ほんと素直じゃないんだから。
こんなんで友達とかいるのか謎なんだけど。
あたしと蓮の言い合いもいつもなら混ざってくるのに珍しく入ってこない波瑠を見るとすごい勢いで食べてた。
それからは三人とも黙って目の前のオムライスを食べた。