人魚の涙〜マーメイド・ティア〜
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少し寂れた風景の公園に同じ髪の色をした男が二人お互いを見つめ合って、いや、この場合は睨み合ってという方がきっと正しいのだろう。
周りの空気がピりつくくらい緊張感が漂うこの公園は千晃の家から徒歩10分で行ける場所にある。
もう外は真っ暗で街灯でもはっきり見えるかわからない程度だがこんな夜でもギラギラと鮮やかな金色の方が地に響くような声で、ほぼ同じ髪でも少し濁った色の方に問いかける。
「てめぇ…何しにきやがったッ」
聞かれた彼はクスクスと笑いながら答える
「何しにって、お前が持ってるものを壊しに。」
「てっめぇ!!」
ギラついていた髪と同様に瞳もギラつく。
そして乱暴に掴みかかる。
「手出してみろ、絶対に許さねぇからな…」
ぎりぎりと歯が擦り切れる音がする
「…それはどれのことを言ってるのかな?…仲間のこと?それとも、かのっ」
ー…バキッ!!!
濁った金色が揺れる
「言っただろ…手出したらマジでぶっ殺す…」
「プっ!相変わらず血の気が多いね。じゃ、今度こそは守れるといいね。全部。」
パンパンとズボンについた土を払い落とすがどんどん空気は淀んでく。
それは濁ってる髪や目さえも濁っている彼が放つ空気感からだろうか。
それと対峙している彼が舌打ちをしたのと同時に草木の影から15から20くらいの男が出てくる
「やっぱりな、いると思ったぜ。」
「まぁ、この人数にやられるとは思ってないけどさすがのお前でも手こずるだろ?精々奪われないように気をつけろよ?」
陰から出てきた男たちが一斉に飛び掛かる
そして濁った空気を纏った、その場から去ろうとする彼に叫ぶ
「待ちやがれっ!どこ行く気だ!くそっ…!」
追いかけたいがまず自分に群がってくる男たちを片づけることにした。
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