私だけのアナタ
「私さ自分のことはそうなのかな?って疑っちゃったけど、奏〈カナデ〉が言われてることはすごく納得しちゃった」
そう言うのは私の中学からの友達の紀穂〈キホ〉。
今日は久しぶりに紀穂と会えたって言うのに、あの占い師のせいで気分が下がる。
「紀穂だって興味ないことになったらすぐ顔に出てるよ。私も紀穂に対しての言葉は確かにって思った」
まぁでも私は自分に対しての言葉にも確かにって思った。
『恋愛が下手』なんて知ってる。
今まで付き合って来た人、全員とうまく行かなかった。
生まれて19年。今年で20歳。今まで付き合った人数は4人。
それなりに経験は……いや、経験はない。
正直なところ、手も繋いだことがない。
「奏って初対面の人からでもわかるくらい恋愛下手なんだね」
「それ、今掘り返さないで〜…」
今までなんでも紀穂には相談して来たからか、私の一番の理解者でもありアドバイザーでもある。
なんたって紀穂には付き合って4年の彼氏がいるから。
「でもさっき紀穂も言われてたよね。将来彼氏がヒモになるって」
「そうなんだよね〜。っていうか彼もう就職してんだけどさ、結婚についての話題がないの」
結婚…かぁ。
「まだ早いんじゃない?だって私たちまだ19歳…」
それに私も紀穂もまだ学生なんだから。
「そうだよね〜。でも少しくらい話題になったっていいと思わない?」
「う〜ん、そうなのかなぁ?私4年も彼氏いたことないからわかんないや」
「そうだったわ。奏に相談する私が悪かったわ」
紀穂も呆れるくらいの私の恋愛経験の少なさ。
私自身、焦りを通り越してもう悟ってるよね。
でもいいんだ。今は一応彼氏がいるから。
……うん、一応。