私だけのアナタ
事故
「ただいま〜」
「お前酒くさっ…未成年が呑んでんじゃねーよ」
「うるせー。お前みたいな兄持ったからこんな妹になったんだっつーの」
「ほんっと、お前酒呑むと口悪くなるよなぁ」
「まーじーでウザい。クソ兄貴はさっさと寝ろ」
「お前も早く風呂入って酔い覚まして寝ろよ〜」
「おやすみおにーさん」
……
「えっ、今何時?!」
あたりは真っ暗。
部屋の中なのはわかるけど…
いつも手元に置いているはずの携帯もない。
仕方なく壁をつたって移動する。
大体の家具の配置からリビングということは理解できたので、すぐさま電気をつけようとスイッチの所へと歩く。
「ちょっ、え!?!」
ードン!
「「いった……」」
寝ぼけているのか、暗闇だからなのか、全くわからないけど一つわかることは人を踏んだということ。
すると急に電気がついた。
「こんな夜中にどうした?」
「お母さん…足痛い……」
「はぁ??」
眠そうに目を擦りながら電気をつけてくれたお母さん。
私の足元にはお兄ちゃんもいた。
「アンタ達2人でリビングに寝てたけど、何が起きたの?」
「奏が俺のこと踏んだ時にビックリして足捻ったっぽい」
「お兄ちゃんがそんなとこにいるのが悪いんじゃん…」
それにしても足の痛みは治らない。
「ちょっ、奏よく見せて」
お母さんが私の足を見てすぐに近寄ってきた。
「あんた…足腫れてきたし、これは折れてるよ」
「えぇ…そんな…」
整形外科の看護師としてはたらくお母さん。
そのお母さんの言葉に間違いはなさそう。
骨折だなんてそんな…。
「お兄ちゃんのせいだ…泣きそう…」
「ホント、すっげぇ腫れてんな…奏ゴメン」
「私も踏んじゃってゴメン」
「とりあえず冷やして明日お母さんと一緒に病院行こっか」
「うん…」
足を骨折するなんて…
この歳になって。しかも寝ぼけて捻ったら折れましたって?
そんなの笑えない。
恥ずかしいったらありゃしないじゃんかぁ。