最後のキスが忘れられなくて
「あら、周ちゃん、いらっしゃい。」
「お邪魔します。」
「いつものように率直な感想を聞かせてちょうだいね。」
「はい。」
周一は私よりも先に玄関から上がり
ダイニングテーブルに座って母を相手に舌鼓を打っていた。
「見た目、完璧です。」
「クリーム、なめらかさ、最高です。」
「パイ生地、うん、サクサク感バッチリです。」
周一の言葉に母はいちいち自分で拍手をしていた。
「周ちゃん、ミルフィーユは倒して食べていいのよ。」
「本当ですか?」
皿の上にそっと倒してからフォークをざくりと刺した。
全体を大きくすくってモグモグと美味しそうに食べる周一を
私は冷たい視線でとらえた。
「まったく、小学生じゃあるまいし。」
「良菜、周ちゃんはいつまでも周ちゃんなの。」
母はいつも周一の肩をもった。
「あーそうですか。はいはい。」
私もかみ砕いたパイをごくりと飲み込み
熱い紅茶で喉をうるおした。
「周ちゃん、どう?」
「はい、一切れ480円で売れますよ。」
「本当?今日は高い評価だったわ。」
「美味しかったです。ごちそうさまでした。」
一体どういう価格設定かしら。
私には理解できないこの二人のやり取りはもう聞き飽きていた。
「母さん、ごちそうさま。」
私は2階の部屋へ上がった。
周一は勝手に帰るだろうと思って無視した。
ところが私に続いて部屋まで来た。
「良菜。話があるんだ。」
「帰るんじゃないの?」
「今日は帰らない。」
「なにそれ?」
幼なじみの関係上私の部屋に周一が入っても母は無関心だ。
年頃の自分の娘が心配じゃないのかしら。
「じゃ、早くして。用事あるから。」
ドアを閉めた。
「お邪魔します。」
「いつものように率直な感想を聞かせてちょうだいね。」
「はい。」
周一は私よりも先に玄関から上がり
ダイニングテーブルに座って母を相手に舌鼓を打っていた。
「見た目、完璧です。」
「クリーム、なめらかさ、最高です。」
「パイ生地、うん、サクサク感バッチリです。」
周一の言葉に母はいちいち自分で拍手をしていた。
「周ちゃん、ミルフィーユは倒して食べていいのよ。」
「本当ですか?」
皿の上にそっと倒してからフォークをざくりと刺した。
全体を大きくすくってモグモグと美味しそうに食べる周一を
私は冷たい視線でとらえた。
「まったく、小学生じゃあるまいし。」
「良菜、周ちゃんはいつまでも周ちゃんなの。」
母はいつも周一の肩をもった。
「あーそうですか。はいはい。」
私もかみ砕いたパイをごくりと飲み込み
熱い紅茶で喉をうるおした。
「周ちゃん、どう?」
「はい、一切れ480円で売れますよ。」
「本当?今日は高い評価だったわ。」
「美味しかったです。ごちそうさまでした。」
一体どういう価格設定かしら。
私には理解できないこの二人のやり取りはもう聞き飽きていた。
「母さん、ごちそうさま。」
私は2階の部屋へ上がった。
周一は勝手に帰るだろうと思って無視した。
ところが私に続いて部屋まで来た。
「良菜。話があるんだ。」
「帰るんじゃないの?」
「今日は帰らない。」
「なにそれ?」
幼なじみの関係上私の部屋に周一が入っても母は無関心だ。
年頃の自分の娘が心配じゃないのかしら。
「じゃ、早くして。用事あるから。」
ドアを閉めた。