御曹司に身分違いの恋をしました。


「か・彼女ですかぁ?
そんな事言われたら
立候補しちゃいますよぉ〜」


「本当に?
って言うかそれさっき
こっちが言ったセリフじゃない?」


「そうでしたね!
でも弁護士さんとバーの店員
身分が違いますよハハハ」


「違わないよ!」と言ったと思ったら
「帰ろうか」とまたタクシーを呼んだ。


なんだ。。。結局話は変えられ
スルーされただけか。。。


しばらくすると
さっきの運転手さんがまた来た
「美味しかったです?」
「美味かったよー」
「次はどこへ?」
「いやもう帰ろうかと思って」
「かしこまりました」
場所を聞くわけでもなく
走り出したタクシー
きっと専属の運転手さんなんだろう。


待て!私はどこで降りる?
伝えなきゃ。


「あのぉ あたしは
適当なところで降ろしてください
駅近だと尚更ありがたいですが」


「雅人くんどうする?」


「とにかく帰る」


「承知しました」


なるほど。。。
一刻も早く帰りたいのか。。。


疲れているのに付き合わせちゃったかな。


先に山口さんを送って
私はそのあとね!


車内では何故か手を握ったまま
その意図はわからないが
手から伝わる温もりが心地良くて
「離して」なんて言わずにいた。


車はまたベリーヶ丘に戻った
しかもノースエリア。


まさかここが山口さんの住処?
ヤバっ!どれだけお金持ち?


「あっ!ごめん
タワービルに向かってくれる?」


「オフィスの方ですかね?
承知いたしました」


すぐに向きを変え
ツインタワーの前に向かった。


降りてすぐに
「お疲れさまでした
今日はありがとうございました
またお店にいらしてくださいね」
とお礼をいうと
「ちょっと来て」と手を取られ
エレベーターに乗り
20階のボタンを押した。


「何か事務所に忘れ物ですか?」


「忘れ物と言っちゃ
忘れ物かな?さっ!入って」


山口法律事務所へ入った。


応接セットがあり
キッチンがあり本棚には
私には訳のわからない本が並んでいる。


「素敵な事務所ですね
それに眺めも抜群じゃないですかぁ
綺麗!!!」
とはしゃぎながら窓側に景色を眺めるために
移動した私。


< 13 / 80 >

この作品をシェア

pagetop