御曹司に身分違いの恋をしました。


「もう帰らなきゃ」


「もう帰っちゃうの?」


「はい このまま
転んでたら爆睡しちゃいそうで
朝起きられなかったら
事務員さんとかが来ちゃって
大騒動になったら山口さん困っちゃうでしょ?」


「一回寝たらなかなか起きないタイプ?」


「まぁ。。。ここのベット
フカフカで居心地良さそうだから」


「そっか
またいつでもおいでよ
寝不足の時とか使っていいよ」


「はい」


山口さんはまた車の手配をして
自分も着替えている。


まさか送る?
それは無理!バレちゃう
私の住処が!


エレベーターなし
オートロックなし
セキュリティなんか何も無し
築20年は経ってるアパート。


「山口さんはゆっくり休んでください」


「そう?遠慮しなくてもいいよ?」


「いいえ!大丈夫ですっ!」


大丈夫!大丈夫!と
私が何度も言うので
「それなら下までは送るよ」
と車までは送ってくれたのだ。


「家までちゃんと送ってやってね」


「承知いたしました」


車に乗り込むと
運転手さんは
「どこまで行けばいいですか?」
と聞いてきた。


「駅でいいです」


「こんな時間に駅でおろしたとバレたら
怒られますから ちゃんと
家までお送りしますよ」


「言わなきゃバレないなら」


「ダメです!
勘の鋭い人だから
後が怖いので」


「いやいや」


「え?家がバレるのが嫌なんですか?
それともこれからまだ別のところに?」


はぁ?別の所とは?
別の所=別の男?
私がそんな風に見える?


「失礼ですねっ!!!
別のところって別の男のところに行くと
思ってるわけ?」


運転手さんの言い方に
勝手に勘違いをしてキレてしまった。



< 16 / 80 >

この作品をシェア

pagetop