御曹司に身分違いの恋をしました。
母は
「苦労かけてごめんね
わたしが誰にも迷惑かけないで産む!と
決心して産んだのに
苦労かけて本当にごめん」
と私を抱きしめた。
「どうしてシングルマザーになったの?
相手の人に慰謝料とか貰わなかったの?
どんな人なの?あたしのお父さん」
私の質問に一つ一つ答える母。
お父さんとの出会いは
アルバイト先(飲食店)が同じだった
つまり職場恋愛っていうもの。
まだ学生でアルバイトの父と高校を卒業して
そこが就職先だった母。
父が大学を卒業した年に
お見合いの話が浮いて出た。
父は医療関係の後継だと知ったのも
その頃だった。
当然将来は自分と
結婚するものだと思ってた母だが
父の両親に反対されたのだ。
別に母は私のように片親だったわけでもないし
今のように借金があるわけでもない
ただ普通ううん普通より下かもしれないが
幸せに暮らしていた。
だが向こうの両親は
それなりの地位の家庭の娘さんを
望んでいたのだ。
お見合い相手はお医者様の娘
すぐに父を気に入り
そこから母とのバトルもあったという
陰で何度も呼び出されて
精神的にもつらくなっていた。
そんな時 母が私を身篭った。
父に相談しようと思ったが
あの両親にバレたら
無理矢理にでも中絶させられると
考えた母は言えなかった。
次第に母の様子が変わっていくのを見た父は
「別れよう」と言ってきたのだ。
まだ若いから次の恋して幸せになってほしい
自分と一緒になっても
辛い思いをするだけだからと。
そして父は
お見合いの相手とすぐに結婚したのだ。
「母さん可哀想」
「でもあなたがいるからいい!って思った
愛する人の子を産めたから幸せだったのよ」
「相手にはあたしのことを言ってないの?」
「ずっと言うつもりはなかったの
責任感じさせたくなかったからね
そうしたらね
偶然会っちゃったのよ
身重の奥さん連れたあの人と
まだ産まれて半年過ぎのあなたを連れた私」