御曹司に身分違いの恋をしました。


そして私と山口さんとの関係は
相変わらず。


お互い会いたい時に会って
身体を重ねているけれど
私の中で好きという気持ちが
膨れ上がってきている。


今日はお母様にまた強引に誘われて
実家を訪ねた。


玄関を開けると正面に姿鏡があり
そのフチは宝石が散りばめられている。


さすが宝石店を営む家庭!


どうぞと出された来客用のスリッパは
真っ白なレース。


トイレは大理石
迷子になっちゃうかのような部屋数
思わずため息がでてしまう。


私の実家のアパートは少し動けば
物が取れるくらいの狭さ。


それに比べるとここは何十倍もデカく
何もかもが高級。


ーーー私には場違いなところーーー


ただ山口さんの部屋だけは
極々普通で何も高級感は感じられないところに
少しだけ安心できた。


部屋へ入って『はぁー』と言いながら
床に腰を下ろす私に山口さんが言った。


「どうした?お袋に圧倒されたか?」


お母様は私に「これ食べなさい」
「これお口に合うかしら?」と
自作のミックスジュースを出してきたり
すごく気を使ってくれて
「これ」「あれ」と言ってくれていた。


「ううん お母様じゃなくて
ここの場所に圧倒された」


「え?ここに?」と
私からの意外な言葉に少し笑う。


「そう 玄関の宝石とか大理石とか
住む世界の違いさに・・・」


「あぁ まぁ 宝石店だからね
仕入れ価格より激安だから
思ったほどすごくないよ
お店でそれを売るならかなりの
お金になるけどね」


とはいえ 宝石だからねぇ。


「そうね」


「まぁ 愛華がそんな心配しなくていいよ
住む世界が違うとかどうとか」


心配しなくていいよ・・・?
そうか。。。
あたしたち付き合ってるわけじゃないから
そこまで真剣に考えるな!ってことか。


「だよね」


と返すがそれは私にとってかなりの
ショックな言葉だった。



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