御曹司に身分違いの恋をしました。


「母さんのせいじゃないよ
本当に妊娠なら
あたしがいけないのよ
軽はずみなことをしてしまって」


「本当に付き合ってないの?その人と」


「付き合おうとかそんな話をしてないけど
向こうのお母様に何度か会ったことがあるよ」


「お母様に会わせたのに付き合ってないの?」


「あぁ会わせたというか
偶然会ったというのが正解かな?
すると一度家に連れてきなさいって
言われたらしくて招かれただけ」


「反対とかされたとか?
何か辛く当られたとか?」


「それはなかった
『愛華さん』って
すごく気にしてくれてるというか
優しくされた」


「それならいいじゃないの」


「でもいろんな話の流れから
やっぱり息子の相手は
『複雑な家庭の人はちょっとねー』
みたいなことを話してた」


「愛華なことがダメ!って言われないだけ
それだけはマシじゃない?」


「反対されてるようなものでしょ
複雑だもの」


「ごめんね」


母が『ごめん』と謝ると心にグサっと
突き刺さる。


「謝らないでよ」


「とりあえず病院行ってみよう
母さんがどうにかするから
もし出来てたら働けないでしょ?」


「出来てたら産むべきなのかな?」


「あなたはどうしたいの!」


私は山口さんとの子供
産みたい。


だけど自分の気持ちだけで産んで
産まれた子はどうなの?
幸せになれるの?
私のように母の愛に包まれても
心痛したり苦労もする
子供のためにどうしたらいいのか。


「とにかく病院行こう」


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