御曹司に身分違いの恋をしました。


「事実なので」


「こんな言い方って悪いと思うけど
雅人くんの親に反対されたのか?」


自分たちの頃と
同じじゃないのか?と言う。


ブルブルと頭を振って違うと示した。


黙って聞いていた母が
「雅人くんって言う人はどんな人なの?」
と川相さんに聞いた。


「ベリーヶ丘のツインタワー内にある
山口法律事務所
そこの弁護士で頭の切れる人のいい男
両親はヒルズの宝石店を経営していて
母親もアパレル業界の娘で
住まいもノースエリアにあってお金持ちだね」


「そうなのね
だからなのね・・・」


「やっぱり反対されたのか?」


「違うって!」


「もういいじゃない?
実の父に胸の内だけ聞いて貰えば?
もうあなたは1人で産むと決心したんだから
それはそれで決めた通りに人生を歩めば」


母が余計なことを言うから
バレてしまった。


「やっぱり雅人くんとの子なんだね」


「絶対言わないでください
本当に本当にお願いします」
何度も何度も頭を下げた。


「反対されたわけじゃないんだろ?」


「複雑な家庭は嫌だとお母様が
話の中で言ってたから
それって母と同じことでしょ?
母なんて両親そろってて
別に何も問題があったわけでもないのに
反対された
私なんて問題だらけで救いようがないのに
認めてくれるわけがない
それなら産むのをやめようと
そう思ったけど愛した人の子を
殺すことはできなかった」


泣き泣き話した。


「借金もこのお父さんが払ってくれたから
本当にあなたが背負ってるものはないのよ?
話してごらん」


「母さん!!!
約束したでしょ家族一丸!
これ以上川相さんに
お世話になってどうするの!
十分してもらってるじゃない
そのクソ親父の残した借金は
これから川相さんに返していかなくちゃ!
だから背負ってるものはある!」


「頑固ね!」


「頑固じゃなくちゃ
1人で子供なんて育ててはいかれない!」


川相さんは少しクスッと笑った。


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