きらきら星に魅せられて
「よかった.....あ、そうだ。ねぇ、芽唯?」

「なに?」

「ピアノって届いてる?」

「もちろん届いてるよ。大切に使わせてもらってる。今度お父様にもお礼を言いに行きたいな。奈穂もありがとう」

「いいよ。芽唯がうちに来てくれるの嬉しいもん。.....あ、もう芽唯って呼ばない方がいいのかな?紗夜ちゃん.....だもんね」

「紗夜でいいよ」

「紗夜.....か。はぁ.....夢みたいだな。大好きな森本紗夜ちゃんが目の前にいるなんて」

「そんな大した人じゃないから」

「大した人よ。ピアノやってる人なら誰もが憧れる人だもの」

「そうだよ!ピアノやってない私でも憧れるくらいだよ?」

「じゃあ私もがんばらないとね」

「ショパンコンクール優勝.....でしょ?楽しみにしてるからね?」

「絶対優勝する。先生のために.....」

「.....先生?」

ボソッと呟いた一言を聞かれてしまったみたいだ。

「堀田郁花.....だっけ?」

「私は先生を殺したの。人殺しなの」

「.....っ」

「だーかーら。お前は人殺しじゃないっつってんだろ」

「せ、惺くん。いたんだ」

「いたんだじゃねえから。前向くんだろ?先生に助けてもらったんだから先生の分まで生きるんだろ?うじうじそれ言い続けるのやめろ」

「はい.....」

「それと今のセリフ向こうに聞かれたらやべぇぞ。その話はしない方がいい」

「え?」

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