きらきら星に魅せられて
「今日は公開で実技テストを行います」

.....抜き打ちテストか。

「曲は古典派、ロマン派それぞれ1曲ずつ。古典派はソナタの全楽章を弾くこと」

これもまた酷なテストだ。

古典派ソナタ全楽章とロマン派.....。

何を弾こうか迷う。

「はい、じゃあ1番はあなたから」

たまたま一番端に座っていた子が指名され、泣きそうな顔で前に出ていく。

お辞儀をして覚悟を決めたように椅子に座ったものの.....

それはそれは酷い演奏で。

きっと今仕上がっている曲がなかったんだろうな。

「あなたは33点ね」

低い.....。

50人近くもいるこの学校の音楽科。

流石に下手な演奏ばかり聴いていると飽きてくる。

「じゃあ次は谷崎さん」

やっといい演奏が聴ける。

アレンの演奏はとにかく面白いから飽きないし。

なぜ面白いかっていうと個性的かつ独創的なアレンらしい演奏だから。

自分の解釈で楽譜なんて完璧に無視しているかのようにも見えるけど、私は楽譜をよく見てるからこそできる演奏だと思うの。

きっとコンクールとかではもっと楽譜に誠実な人の方が受かりやすいんだろうけど。

< 127 / 240 >

この作品をシェア

pagetop