きらきら星に魅せられて
「じゃあ.....森本さん」

「はい」

やっぱりね。

そう来ると思いました。


まずはモーツァルトのソナタ第18番。

モーツァルトの最後のソナタだ。

あまり知られていない曲だが、割と難しい曲。

第1楽章。

拍感を意識し、快活に。

トリルや16分音符のパッセージは私の得意分野を生かし、キラキラとした音色で音の粒をしっかりと揃える。

ソナタ形式を意識し、第1主題と第2主題の違いをハッキリつける。

第2主題はいい拍感の中で精一杯歌う。

.....懐かしい。

先生に注意されたことが弾けば弾くほど蘇ってくる。


次は第2楽章。

あまり重点的には教えてもらっていないんだよね。

なぜかと言うと第1楽章と第3楽章の方がコンクールで使えるから。

第2楽章も弾けるようになりましたよ、先生。

私、1人でもがんばります。

だから見ていてください。


第2楽章は第1楽章と比べて優雅に優しく。

メロディーだけじゃなくてすべての声部を意識して。

これはバッハで先生が教えてくれたことでしたね。

“紗夜は耳がいい”

先生はよくそう言ってくれていた。

だから初めて先生と会った時、1回聴いただけで“きらきら星変奏曲”が弾けたのだと。

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