きらきら星に魅せられて
「サヤくらいのレベルになると他の人よりは、なんてレベルじゃダメなんだ。音を売りにしていくのなら音を磨くんだ、サヤ。今必要なのは元々サヤが持っていない力を少し底上げすることより持っている力を伸ばすことだよ」

「音を磨く.....。もっと輝きのある音にするってことですか?」

「違うよ。音.....じゃないね、音色だ。キミは耳がいい。自分の出した音色を聴くんだ。1つ1つの音を良くするっていうだけじゃない。その場面にあった音色を出すんだ。それは結果的に表現力にも繋がることになるよ」

そうか.....音色だ。

1つ1つの音だけじゃなくて場面にあった音色を出す、か。

やっと答えにありついた気分になれた。

「よし、サヤ。今からやる曲はなににするかい?キミが今日持ってきた曲は結局のところただの体力勝負だ。この考え方に賛成できない人も大勢いるとは思うけどね」

「私は.....ノクターンを弾きたいです」

「ノクターンか。.....いいだろう」

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