きらきら星に魅せられて
「なぁ、紗夜。上見ろよ」

いつの間にかもう星は出ていた。

「わぁ.....すごい.....」

それは今まで見たこともないほどの満天の星空だった。

「星って全部同じに見えるけど光り方とか色とか少しずつ違うんだな.....」

「.....色?.....それだ」

「え?」

「それだよ惺くん!やっと私、わかった。1つ1つの音をただ輝かせるように弾くんじゃなくてそこに色を加えていけばいいんだよ」

「俺は今日、紗夜が自分の演奏を見つけるために外に連れ出したんだ。だから良かったよ」


私は今日、自然の中に“色”を見つけた。

ありふれた光景の中に“色”を見つけた。

星空に“色”を見つけた。

―――恋の“色”を知った。

あとはこれを演奏に取り込むだけ.....。


「そろそろ帰ろうか」

「そうだね」

私たちはどちらともなく、手を握り合い、満天の星空の下を歩いた。

< 175 / 240 >

この作品をシェア

pagetop