きらきら星に魅せられて
「3番 森本紗夜。日本」

ついに始まる。

待ちに待ったあの子の出番が。


幻想ポロネーズを堀田郁花のように澄んだ音で弾きあげていく。

でもこれは.....

君の演奏じゃないだろ?

どうして.....。

君が実力を発揮するのはまだだというのかい?

いつだ.....いつ君は。


「焦っているのか?ユゼフ」

「ああ」

「そう焦らなくてもサヤが実力を発揮するのは第3次審査からだよ」

「なぜ、わかる?」

「ボクがそう指示したからさ」

「どういうことだ、“ルイス”」

「サヤはボクの唯一の生徒だからな」

「聞いてないぞ。君は生徒を取らない主義だったじゃないか」

「サヤは教えがいがあるからな。それに野山惺からの頼みだから断れないよ」

「.....君のことがよくわからなくなったよ」

「だろうね」

「私だって毎朝森本紗夜には会っているけどな」

「は?」

「散歩中に会ったんだ。毎日話しているよ」

「サヤ.....キミは審査委員長まで味方につけるとは」

「よく分からないのはあの子の方だな」

「確かにそうかもしれないな」

森本紗夜.....君にはどんな力が、才能が隠されている.....?

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