きらきら星に魅せられて
第2次審査2日目

今日も昨日に引き続き、会場で演奏を見ることが出来る。

ルイス先生が手配してくれたから。

本当にあの人は不思議な人だ。

今、どこにいるのかさえわからないし、チケットを手配だなんていけないことをしてるんじゃないかと不安になる。

もしかして相当な偉い人とか.....?


「4番 谷崎アレン。日本」

アレンの登場だ。

―――谷崎アレンとアメリー・ニコラの演奏は必ず見るんだよ。

ルイス先生は確かにそう言っていた。

アレンの演奏なんて何回も見たんだけどな.....。


まず最初に弾き始めたのは私が出た最後の実技テストでアレンが弾いていたスケルツォ2番。

格段に上達している。

でもやっぱりそれは自分流の弾き方で。

観客たちも予想外の展開に進む音楽に惹き込まれ、楽しんでいる。

今のところは楽譜上ではクレッシェンドからのデクレッシェンドのはず。

それを逆にデクレッシェンドからのクレッシェンドに持っていくアレン。

完全にタブーではあるが、それをしっかりと自分の演奏として丸め込む技術はすごいと思う。

それにわざと逆にするということはしっかり楽譜を読み込んでいるということだ。

ただの自由な演奏ではない。

尚も観客を巻き込んで自分の世界を作り出していくアレン。

そうか、私にはこれが足りていないんだ。

きっとアレンは勝つことよりも音楽を楽しむことを優先している。

私ももっと自分の音楽を楽しめばいいんだ。

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