きらきら星に魅せられて
ファイナル2日目。

「1番 ヘリク・マリノフスキー。ポーランド」

「来たわね。ミスターパーフェクト」

「そんな名前がついてるの?」

「そうよ。完璧な演奏だと言われているわ。でも完璧さで言ったらカイル・ケネディが上回っていると噂されてるけどね。ただポーランドは審査員に優遇されやすいってたまに聞くから.....」

「そんなのひどい」

「まぁそれが現実というものよ、紗夜。でも技術で勝てばいいのよ。私たちは絶対にこの男より上手いわ」

「う、うん」

.....私たちは絶対にこの男より上手いわ、なんて言いきれてしまう星羅ちゃんもすごい。

「それに今はこの男より次の惺よ」

その言葉にハッとさせられる。

そうだ、次は惺くんの番。

胸がドキドキと音を立て始めた。


「2番 野山惺。日本」

惺くんは本当に苦手を解消していた。

わざと苦手な選曲をし、がんばっていた惺くん。

苦手としていた激しく、重い音色で会場を震わせている。

そういうがんばり屋さんで努力家なところ、かっこよくて

.....好き。


なんとなく心の中で呟いてしまったその一言に1人で赤面してしまった。

だ、誰にも見られてないよね。


今度は得意とする甘く美しい音色でメロディーを歌い上げ、会場を虜にしていく。

惺くんは笑っていた。

とても幸せそうに。

そんな姿さえ.....美しかった。

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