きらきら星に魅せられて
辿り着いたピアノ室の小窓からそっと中を覗いてみた。

そこにいたのは

.....惺くん。

なんで気づかなかったのだろう。

あの優しい音色は惺くんにしか出せない音だったのに。


バレたら終わりだと思い、急いでその場を立ち去ろうとした。

でも急いでいる時こそかえって空回りしてしまうもので.....。

私は木の板で出来た床の歪みにつまずき、転んでしまった。

「いったぁ.....」

しかも転んだ反動で惺くんが練習していたピアノ室のドアを思いっきり蹴ってしまった。

「は?誰?」

「あ、いや、あのごめんね、じゃなくてごめんなさい。れ、練習の邪魔しちゃって」

私は這いつくばったまま、なんとか惺くんから逃げようと来た道を戻る。

しかし痛くて体が思うように動かなかった。

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