きらきら星に魅せられて
「はぁ.....。ほら、立て」

そう言って惺くんは私に手を差し伸べてくれた。

無愛想で冷酷に見えるかもしれないけどそれはただ感情を表に出せないだけ。

口調が冷たいからって性格が悪いってわけじゃないのにみんなそう決めつけてる。

でも安心した。

惺くんの優しいところはずっと変わっていなかったから。

少し口調は前より冷たくなったような気もするけどね。

「ありがとうございます」

「それで.....なんでお前こんなとこにいんの?音楽科じゃないよな?」

「せいく.....じゃなくてあなたのピアノが聴こえてきて.....。ごめんなさい」

「俺のピアノを聴きに来たってこと?」

「はい.....」

「邪魔しないなら聴いててもいいけど」

「いいんですか!?」

「ん」

好奇心に負けてしまった私。

久しぶりに惺くんの演奏を聞きたくなってしまったんだ。

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