きらきら星に魅せられて
「ピアノ弾いたことないのよね.....?耳だけでこんなに.....。天才よ。あなたは天才だわ。ピアノ習いたくない?」

首を横に振り、下を向いて俯く。

だってそんなお金あるはずない.....。

「本当は習いたいの?」

控えめに頷いた。

「じゃあどうして.....?あ、もしかしてお金のこととか気にしてる?」

コクン

「子供はそんなこと気にしちゃだめよ。私が教えてあげるわ。お金は将来紗夜ちゃんが世界で活躍するピアニストになったときに返して」

そう言ってニッコリ笑った先生の顔は今も頭にこびりついて離れない。

そのときやっと自分の居場所を見つけた気がしたんだ。

涙が止まらなかった。

そしてこのとき私は決めた。

絶対すごいピアニストになってやるって。

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