きらきら星に魅せられて
今日の放課後は私が着いた時にはもう惺くんが練習を始めていた。

練習に熱中しすぎて私に気づいていない。

まぁいいかと近くの椅子に座り、惺くんの演奏に聞き入っていた。


「あ、お前来てたの?声かけてくれればよかったのに」

一段落してやっと私に気づいた惺くん。

「集中してたみたいだったから」

「っていうか、ん。それ。お前の友達?」

惺くんがドアの方を顎でしゃくった。

「え?」

何事かと思い、振り返るとサッと影が消えた。

「なんかいたけど」

「はっ!もしかして.....」

慌ててドアを開けると、廊下の先に逃げていく2つの影が見える。

「冗談だって言ってたのに.....」

絶対あれは奈穂と時雨だった。

「ごめんね、バレちゃった」

「別に。俺は気にしないし。お前の方がやばいんじゃないの?嫌われ者の俺のとこ通ってるってバレたら」

そう言って自嘲気味に笑った惺くん。

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