きらきら星に魅せられて
しかし逃げた先はもっと場が悪かった。

「谷崎アレンさんですよね?」

「握手してもらっていいですか?」

「いいよ」

周囲に笑顔を振りまくハーフイケメン谷崎アレン。

確か最近日本に来たらしい。

私も何度か外国のコンクールで競演したことがある。

あの人、なんだか掴みどころがなくて私は苦手。

逃げたいけどこれ以上逃げたら奈穂に怪しまれるよね.....。

「あのイケメン誰?」

「谷崎アレン。ハーフだよ。奈穂、知らない?」

「知らないな。でも私あの顔どタイプ。外国にいたなら結婚して下さいって言ったらOKしてもらえそうじゃない?」

たまに突拍子も無いことを言い出す奈穂。

その度に驚かされる。

「あ、こっち来た」

「え?」

「隣いい?」

「ど、どうぞ」

急に話しかけられた奈穂は嬉しそう。

私はと言うと必死に2つとなりのアレンから顔を逸らしていた。

< 77 / 240 >

この作品をシェア

pagetop