きらきら星に魅せられて
「芽唯。どういうこと?私にはなんのことか全然わからない」

「ただの喧嘩。どうってことないよ」

「喧嘩って.....」

「いいの。ほら次始まるよ」

納得いかなそうな奈穂には気づかないふりをするしかない。


惺くんが最初っていうプログラムはどうかと思う。

事実、その後に続いた人の演奏は冴えなく聞こえたから。

「次、時雨だね」

「ほんとだ。曲は.....幻想即興曲か。まぁ演奏会向きではあるのかも」

「やっぱり芽唯、詳しいね」

「ま、まぁね」

ついボソッともらしてしまった一言。

気をつけないと。

「24番1年B組ピアノ科夜空時雨さん.....」

時雨の演奏はテクニックに優れていた。

こんなに早く、激しい曲なのに1音も外していない。

鍵盤を駆け抜ける指は見えなかったくらいだから。

でも.....こういう演奏は人を感動させることはできない。

時雨はきっとこの学校では星羅ちゃんや惺くんに次ぐ3位くらいかもしれないけど、この先戦ってはいけない。

もっと人を感動させるなにかを養っていかなければ。

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