きらきら星に魅せられて

我慢の限界

月曜日。

私は放課後、惺くんのところへ行こうか迷っていた。

理由はピアノを弾いてしまいそうだったから。

昨日は一日中、家のグランドピアノの前で1人、うずうずしながら行ったり来たりしていた。

演奏会なんか行ってしまうと本当に弾きたくなってしまう。

結局、昨日1日我慢できたんだから大丈夫だという謎の自信からやっぱり惺くんの所へ行くことにした。


ピアノ室のドアを開けると、今日に限って惺くんがまだ来ていなかった。

1人悶々と耐える私。

我慢の限界を超えそうだった。


それから数十秒間のことは覚えていない。

気づいたらピアノの蓋を開けて、椅子に座っていたんだから。

もう我慢することを諦めた私は、鍵盤に手を置いた。

私は深呼吸をし、弾き始める。

思い出の“あの曲”を。

ピアノを弾いているも同然で机に向かっていた3年間のおかげで思っていたよりあのころの感覚は覚えていた。

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