きらきら星に魅せられて
｢やめろ.....っ。先生に救ってもらった命なんだろ？お前の先生は自らを犠牲にしてまで紗夜を救ったんだ。大切な命を.....無駄にするなっ｣

ハッとして足を止めた私。

惺くんのその言葉は我を失いかけていた心に酷く突き刺さった。

｢先生に救ってもらった命.....｣

｢そうだ。お前ができる先生への償いは精一杯生きることじゃないのか？｣

｢.....｣

｢そうやってずっと過去に縋って前を向こうとしない紗夜のこと、先生はどう思うか考えろ｣

｢.....惺くん｣

それでも尚顔を上げようとしない私を見ると、ふぅ...っと一息つき、突然ピアノを弾き始めた惺くん。

呆気にとられる私をよそに惺くんらしい優美で甘くとろけるような音色を奏でていく。

曲はショパンのノクターン。

私が初めて惺くんの演奏を聴いたときに弾いていた曲だった。

空っぽになった私の心が惺くんの優しい音が溶け込んでくる。

自然と溢れ出る涙。

なぜこんなにも涙が止まらないのだろう。

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