夏樹と空の恋物語

 これがきっかけで、空と夏樹の交際が始まった。

 
 空は頑ななまま、相変わらず無口であるが、夏樹は積極的に空に話しかけていった。


 空は相変わらず頷くだけで、あまり喋ろうとしない。


 しかし。

 夏樹が空に、積極的に話しかけるようになってから、自然と他の社員達も空に話しかけてくるようになった。


 いつも1人でお弁当を食べている空に「一緒に食べよう」と言って、同じ営業部の女子社員が集まって来たり。


 男性社員も、空に優しくしてくれるようになり、仕事を手伝ってくれたり、時々ミスがあると空がフォローしたりと変化が起こってきていた。


 空も少しずつ前より笑うようになっていた。



 
 
 それから7月に入ったある日だった。

 雨の日も少なくなってきた今日この頃。


 夏樹が残業をしていた時だった。



 なんとなく営業部に来た夏樹。
 
 
 誰もいない真っ暗な中。


 ポツンと灯りが見えた。



 誰かいるのかと覗いてみると。

 力也のデスクに誰かが居た。



 驚いた夏樹は、ペンライトで力也の机を灯してみた。


 すると、そこには空がいた。


 ペンライトの灯りに、ハッとなり、空は何かを引き抜いてすぐにパソコンを閉じた。



 
 夏樹が急いで電気をつけると、既に空はいなかった。

< 16 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop