夏樹と空の恋物語
これがきっかけで、空と夏樹の交際が始まった。
空は頑ななまま、相変わらず無口であるが、夏樹は積極的に空に話しかけていった。
空は相変わらず頷くだけで、あまり喋ろうとしない。
しかし。
夏樹が空に、積極的に話しかけるようになってから、自然と他の社員達も空に話しかけてくるようになった。
いつも1人でお弁当を食べている空に「一緒に食べよう」と言って、同じ営業部の女子社員が集まって来たり。
男性社員も、空に優しくしてくれるようになり、仕事を手伝ってくれたり、時々ミスがあると空がフォローしたりと変化が起こってきていた。
空も少しずつ前より笑うようになっていた。
それから7月に入ったある日だった。
雨の日も少なくなってきた今日この頃。
夏樹が残業をしていた時だった。
なんとなく営業部に来た夏樹。
誰もいない真っ暗な中。
ポツンと灯りが見えた。
誰かいるのかと覗いてみると。
力也のデスクに誰かが居た。
驚いた夏樹は、ペンライトで力也の机を灯してみた。
すると、そこには空がいた。
ペンライトの灯りに、ハッとなり、空は何かを引き抜いてすぐにパソコンを閉じた。
夏樹が急いで電気をつけると、既に空はいなかった。