夏樹と空の恋物語
真っ青な顔で呆然とたたずむ力也。
死んだと言われた雅が再び現れたのは何故だ?
信じられない気持ちと、焦る気持ちが入り乱れ、力也はトボトボと歩いて行った。
力也と別れた雅は電話をかけ始めた。
「もしもし? …」
電話をかけた雅はニヤリと怪しく笑いを浮かべた。
真っ青な顔で家に帰りついた力也。
一軒家の力也の家は、ガランとしていて誰もいない。
1階に3部屋とキッチン、リビング、バス、トイレがあり、2階に2部屋ある。
今は力也1人で暮らしているため、1階しか使っていない。
1階のリビングで、力也は力なくソファーに座った。
リビングには、赤ちゃんの時亡くなった子供の写真と位牌が棚の上に置いてある。
写真も誇りかぶっていて、かなり放置されているようである。
力なくソファーに座った力也は、ただ茫然となるばかりで何も考えられなくなっていた。
茫然としたまま気づけば、日が沈んでいた…。
暗くなった部屋に、力也は電気をつけた。
力也が電気をつけると、玄関のチャイムが鳴った。
玄関を開けると、雅がいた。
挑発的な服装で、胸の大きく開いた谷間の見える黒いブラウスを着て、ピッチリしたミニのタイトスカートを履いている。
その姿に力也がゴクリ吐息をのんだ。
「あら、随分とくらい顔しているのね」
「あ・ああ…」
玄関を上がると、雅はそっと力也の頬に手を添えた。
「この家に1人でいると、不安よねぇ? 」
ニヤッと笑って、力也を見る雅。
「とりあえず乾杯しない? とっても美味しいワイン買ってきたの。あなた、ワイン大好きでしょう? 」
リビングにやって来た雅、袋からワインのボトルを取り出し栓を開けた。
力也はグラスを持ってきた。
2つのグラスにワインを注ぐ雅。