夏樹と空の恋物語
(あなた、私を殺して。もう疲れたの、13年も嘘をついて。雅さんは、何もしていない。子供を殺したのは、貴方よ)
(な、何を言っているんだ。そんなことは、雅が犯人で自殺したことであの事件は終わっているんだ。今更何を…)
(…雅さんじゃないわ。…雅さんを眠らせて、犯人に仕立て上げただけじゃない)
(お、お前…。今更そんなことを言うのか? )
(もう、嘘をつくのは嫌なの。ねぇ、私を殺して! )
ナイフを持って喜美江が力也に詰め寄って来る。
力也は喜美江からナイフを取り上げた。
(そんなに死にたいなら、俺が殺してやる。お前が死ねば、雅が無実なことを知る人間はいないからな)
と…
力也は雅の手首をナイフでザックリ切った。
床に血が滴り落ちて、喜美江はそのまま倒れた。
力也は狂ったように笑い出し、そのままソファーに倒れ眠ってしまった。
動画を見て、力也は呆然となった。
その後。
力也が茫然としていると、チャイムが鳴った。
ピンポーン。
チャイムの音に力也はドキッと真青になった。
「まさか…警察か? 」
警察が来たのではないかと、焦った力也は裏口に回った。
裏口から外へ出て来た力也。
だが…。
「そこまでよ」
裏口の外にいたのは、なんと雅だった。
「雅…お前…」
真っ青のまま、驚く力也を見て、雅はほくそ笑んだ。
「表には警察がいるわ。もう、貴方の動画が警察にも送られているの」
「お前…俺をハメたのか? 」
「さぁ、そう思うならそうかもね。でも、先に仕掛けたのは貴方でしょう? 」
ニヤリと笑いを浮かべて、雅は力也に近づいた。
「貴方の横領金額。…10憶にはなるわねぇ」
キラッと光るディスクを見せる雅。