夏樹と空の恋物語
抱きしめた空は、とても熱くて小さく息切れしていた。
そっと、夏樹は空の額に触れた。
「酷い熱じゃないか。1人で大丈夫だった? 」
「…はい…」
答える空が痛々しくて。
夏樹はギュッと抱きしめた。
「…だめだよ、1人で頑張りすぎちゃ。病気の時くらい、人に頼っていいんだから」
夏樹が抱きかかえて、空を寝室へ連れてきた。
そっとベッドに空を寝かせ、布団をかけると、夏樹はちょっとだけ空がほっそりした事に気付いた。
頬が痩せこけて、鎖骨もでている空を見て、夏樹も胸が痛んだ。
「ゆっくり休んで。今、何か作るから」
ギュッと、空が夏樹の手を握った。
「どうしたの? 」
「…ごめんなさい…。私…」
「今は何も気にしなくていいから。僕の気持ちは、全く変わっていないから安心して」
ギュッと優しく手を握り返して、夏樹はそう言った。
キッチンに向かい、夏樹は冷蔵の中を見た。
買い出しに行けていないようで、冷蔵庫には食料があまり入っていなかった。
携帯電話を取り出して、夏樹は電話をかけた。
「…あ、母さん? ごめんね突然。…ちょっと頼みたいことがあって…。買い物頼めるかな? …うん、ちょっと彼女が高熱で動けなくて。僕が買い物に行ってもいいんだけど、1人にしておけないから…。うん、じゃあ必要な物をメールするから頼むね。場所もメールで送るから。…うん、有難う」
電話を切って、夏樹はメールを送った。
とりあえずお水をもって、夏樹は空の傍へ行った。
眠っている空は、さっきよりは穏やかな顔をしている。
体温計で熱を測ってみると、38.5度だった。
夏樹はそっと、空の額に触れて目を閉じた。