鬼の目にも慕情
「柿原隊長。連れてきました。このまま大学まで連行しましょう」
「あぁ。早く乗せろ」
さっきからずっと小声で何か言ってる男を車に押し込める。
「あの子、本気で落とそうと思ってたのに。これで連絡つかなくなったらお前らのせいだからな」
そんなことをずとつぶやいてる。
なんだよそれ。自業自得だろ。
俯いたままで魂の抜けかかってる男を前に容赦ないのはうちの隊長。
額を掴むと無理やり上を向かせた。
「おい。手間取らせやがって。俺らから逃げられると思うなよ。次同じような真似したら、服着る間もなく裸で大学に送ってやるよ」
女性に逃げられたのがよほどショックだったのか、柿原隊長の脅しの前にすでに灰のように真っ白になってる。
「もう、何も耳に入ってないみたいです。放っておきましょう。」
「お前らなんかに俺の気持ちがわかるかよ!
親が裏金積んで大学入って、その大学でも全然勉強ついていけてなくて、単位足りないからまた金で単位買って。どうせ落ちこぼれだって思ってんだろ!」
「当然だろ。お前の境遇なんか知らねーよ」