鬼の目にも慕情

辛辣…。
柿原隊長…。ここは黙って聞いてあげましょうよ。
「まぁまぁ、真正面から向き合う機会ってことですよね」
「はっ、どうせ彼女もいねーんだろ。お前なんかに向き合えって言われても、聞くだけ無駄だな」
「おい!今はお前の駄目さ加減の話だったろ!なんで俺に彼女がいない話になってんだよ」
今は関係ないだろ。
何決めつけてくれてるんだ。
俺の大事な恋愛事情を勝手に評価してくれるな!

仕事が忙しくて恋愛どころじゃないんだよ。男ばっかりの職場で出会いもないし、素敵な人だなって思った喫茶店の店員さんは、まさかの上司の奥さんだったし。
そもそも、今は対象の話なんだ。俺を標的にするなって。
「お前みたいな態度なら、いずれ彼女も離れていくぞ。せっかくだから、柿原隊長にモテる秘訣でも教えてもらったらどうだ?」
柿原隊長に聞こえないように声を潜める。
「は?ありえねーだろ」
だよな。そういうリアクションになるよな。でも人は見かけによらないんだな、これが。
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