鬼の目にも慕情

「あ?なんか言ったか?」
「こいつ、顔だけだろ。性格きつすぎ。ただの暴力野郎じゃねーか」
それは否定できない。
否定する余地もない。
「おい、さっきから何の話だ」
「どうやったら好きな女性に振り向いてもらえるか悩んでるらしいですよ。何かアドバイスないですかね?」
「ねーよ。こんな自分のやるべきこともまともにやれてない男に誰が魅力感じるかよ。
さっさと大学行って来い!」
やけに面倒くさそうに言い放つと、雑に車から追い出した。
…。
転げ落ちた対象は、もう立ち上がる力すら残ってない。
わかる。君の気持ちはよーくわかる。
あの人には心がないんだよ。許してやってくれ。
「やるべきことを、やるところから始めろってことかよ…」
え…?
なんでちょっと晴れやかな顔してんの?
どういう理由で前向きになれたんだ?
「行ってくる」
ど、どこに?
って、大学に決まってるか。
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