鬼の目にも慕情
今日も、朝から全く表情筋のゆるみを見せない柿原隊長。そういえば、この仕事場にも植物がちらほらあるんだよな。
この殺伐とした職場に、ささやかな潤いを与えてくれている。
そんなサボテンたちについて、女性事務員からある噂を聞いた。
「ねぇねぇ、小澤君たちのいる事務所にサボテンあるでしょ?あれって、誰が育ててるか知ってる?」
「え?掃除のおばちゃんが面倒見てくれてるんじゃないの?」
「見たことはないけど、誰かがやってくれてんだろ?サボテンだし、そんな手間もかからなだろうし」
「って、思うじゃない?
私、見ちゃったんだよね。この前、柿原隊長が給湯室で霧吹き持ってるところ。凄くない?これってなかなかのスクープじゃない?」
「え、待って待って。それって、柿原隊長がサボテンを育ててるってこと?」
「あの鬼の隊長が?わざわざサボテンなんかを?有り得ないって。たまたま霧吹き持ってただけだろ」
「それか見間違いな」
「なんで誰も信じてくれないのよ」
残念ながら、身辺警護課の俺たちがそんなの信じるはずがない。あの、柿原隊長だもの。血も涙もない隊長が、植物に優しさを見せるはずがない。
この殺伐とした職場に、ささやかな潤いを与えてくれている。
そんなサボテンたちについて、女性事務員からある噂を聞いた。
「ねぇねぇ、小澤君たちのいる事務所にサボテンあるでしょ?あれって、誰が育ててるか知ってる?」
「え?掃除のおばちゃんが面倒見てくれてるんじゃないの?」
「見たことはないけど、誰かがやってくれてんだろ?サボテンだし、そんな手間もかからなだろうし」
「って、思うじゃない?
私、見ちゃったんだよね。この前、柿原隊長が給湯室で霧吹き持ってるところ。凄くない?これってなかなかのスクープじゃない?」
「え、待って待って。それって、柿原隊長がサボテンを育ててるってこと?」
「あの鬼の隊長が?わざわざサボテンなんかを?有り得ないって。たまたま霧吹き持ってただけだろ」
「それか見間違いな」
「なんで誰も信じてくれないのよ」
残念ながら、身辺警護課の俺たちがそんなの信じるはずがない。あの、柿原隊長だもの。血も涙もない隊長が、植物に優しさを見せるはずがない。