鬼の目にも慕情
なんだよ!あの人ずっとパソコンの前から動かないじゃん。
もう1時間もこうして待ってるのに。どれだけ経っても動く気配がない。仕事熱心かよ。
あーあ。少しくらい優しい顔をするところを見れるかと思ったのに。隙を見せないにも程があるって。

そろそろ俺も仕事に戻るか。いつまでもこうしてたら槍が降って来そうだし。
おっと!
なんて思ってたら、急に立ち上がった。ついに水やりか?
やっと見れるのか?ついにこの時が…!

って、あれ…。なんだよ、立ち上がって伸びしてる。ようやく動いたとおもったら、ただのストレッチか?
「おい小澤!さっきからそこで何してる!やる気ないなら外でも走って来い!」
「うわ!」
なんでバレてんだ!?完全に隠れてたのに。背中に目でもついてんのかよ。
「す、すいません!」
俺は慌てて、倉庫へ書類を取りに行った。本当、なんでばれたんだろう…。
あーあ。パソコンの前に戻りたくねーな。サボってたなんて思われたら、いつにも増して睨みがきつくなるんだよな。
この資料も重いし。全部が嫌になってくんなー、まったく。
サボってたんじゃなくて、ただ観察してただけなんだけどな。
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