鬼の目にも慕情
よいしょっと。
とりあえずこの資料を打ち込まないと残業確定だな。さっさと仕事しよ。
柿原隊長もさっきから変わらずにパソコンに向かってイライラしてそうだし。
はぁ。こんなんじゃあの植物たちの癒しの力も及ばない…。って、あれ?
水があげてある。
だ、誰が?いつの間に?
付近には誰もいない。
掃除のおばちゃんがあげた気配もない。
まさか、柿原隊長…?その気配もないけど…。
くっそー!
「…小澤」
ひゃっ。
地獄の奥底からの声が俺を呼ぶ…。もうふざけたことは考えられない。
「ったく、さっきから何やってんだ。早くここに座れ。このデータの打ち込みが終わるまで席を立つな!」
「え!?」
どさっと置かれたファイルの山。予定よりも増えてる!こんなにたくさんのデータ打ち込んでたら夜が明けますよ!
これ全部打ち込みって…。マジですか。パワハラだ!
「しかも、なんですかこれ!」
どこからか持ってきたロープで、体と椅子をぐるぐるにまかれるてるー!
「終わったら解いてやる」
こんなの横暴だ。
「え…、ちょっと、誰かー」
周りに助けを求めても皆見て見ぬふり。なんだよ、同情の目すら向けてくれなくなったじゃないか。