鬼の目にも慕情
「サボテンとかいいんじゃないかと思ったんですけどね。
あんまり手がかからないって言うから、俺でも育てられるかなって」
「舐めるなよ?
手がかからないものなんてあるか。生き物相手にしてんだぞ。
そんな心構えで育てようっていうんならやめておけ。絶対にお前には無理だ」
そこまで言わなくても。
そんなにはっきりと断言しなくてもいいじゃないか。傷つくな…。
サボテン買いたいって言っただけでここまで心えぐりにきますか?
「手が止まってる」
「はい」
そこからひたすらパソコンを打ちまくる。
いつまでも、どこまでも監視するしぶとい目に追われながら。
サボれない…。

終わったのは、やっぱり明け方になったのだった。

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