鬼の目にも慕情
柿原隊長の胸倉をつかもうとした彼だが、その腕をそのままひねり潰され、あっという間に壁際に追いやられた。
「そりゃ、そうなるよな…」
心の中で合掌でもしておこうか。
いや、なんか違うな。
そうか。
こういう場合は目に見える形で敬意を示した方が良いな。
心の中だけではとどめておけないよ。

怒りで瞳孔が開いていそうな柿原隊長に締め上げられるなんて、きっと彼は軽い気持ちで脅迫メールを送ったことをすごく後悔しているだろう。
そう。この柿原隊長という男の前では、一切に気の緩み、甘えは許されないのだ。

だから俺は、実際に手を合わせて、一礼した。

彼と、そして何よりも、俺の未来に幸あれ。
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