鬼の目にも慕情
「小澤!今から新人全員で走り込みだ!」
え!聞いてない!
でもそんなこと言えない。
一応任務について、遂行したっていうのに、帰ってきたらまた訓練。
シャレにならん。なんで!?

でも柿原部長を前に絶対に口答えなんかできっこない。
走りながら、同じく新人の奴らに声をかけられた。

「お前、何かしでかしたんじゃないのか?
俺ら、連帯責任で走らされてるってことだろ?」
「知らないよ。ただ、訓練時代と同じように怒られまくって一日が終わった」
「お前が柿原部長の機嫌をとれば、仕事終わりの訓練は軽くなるだろ、上手く立ち回れ」
上手く立ち回れ打と?
俺を含め、新人の中にそんなことができるやつが1人でもいるのか?
「こっちは柿原部長の横に付いて回るので精いっぱいなんだよ!
そんなこと言うならお前がペア組んでみろ」
「それは絶対ごめんだわ」
ほら、見たことか!
皆好き勝手言ってるけど、いざ自分がその立場になったら怖気づくんだ。
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